ayame
作詞・作曲・編曲:高坂むゆう/うた:Y22 feat. 初音ミク

悪魔に襲われて 走り出す闇を抜け
明日を待っていた夜の上りホーム 
気怠い街並みと僕が見たあの奇跡
改札を抜ければ君はまだ笑っている

ah... 太陽に手をかざして 見上げていた
くすんだ色のこの世界 原色が消えてゆく

泣き出した空見上げ 君を想うよ
記憶の奥の片隅でそっと息をひそめて
土の匂いと重い風に身を流し
味方だらけの幻に 巡らない季節を待っている

胸に下げたフィルム ありふれたカウンター
痺れた両足で 階段を下りていく

ah... 遠ざかるこの気持ちさえ愛おしくて
灰色で明るい空 だけど夜明けを待っている

泣き出した空見上げ 君を想うよ
二度と戻らないあの日が時間の中埋もれずに
ビルの街 雲の下 人混みの中で
君の姿を探しては 叶わない夢を待っている

願いが消えて 暗がりに怯えても
明日の扉は君の胸の中にあるよ

運命は虹の影 何かが呼んでいる
このまま枯れて土になる それさえも厭わない
鮮やかな赤い色 何かを引きずり
ここでは意味のないものと知っていた
傷を押さえて

泣き出した空見あげ 君を想うよ
時計の針はもう少し 時代を告げている
いつかこの場所でまた君に出会うこと
叶わないと知っていても 遠くの未来に誓うよ

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【高坂むゆうによる解説】
この曲を作った日のことは忘れもしません。当時学生でしたので、帰省先から東京へ移動し、いちばん最初にデジタルスチルカメラ(現在普通に「デジカメ」と呼ばれているもの)を買って、部屋に戻り、そしてぼんやりして…この曲を作りました。具体的に言うと、1999年3月11日のことでした。なので、この曲も季節ものなのです。この時は、本当に「自らの限界」というものについて考えていたような気がしています。
歌詞ですが、全体的に意味不明な文字列をまとったものになっているはずです。しかし、全体が比喩として成立するような、しないような…というギリギリのところで歌詞を書いた記憶があります。
もともと、制作時は「ayame / deep green」という曲でした。この「ayame」という歌詞のカウンターメロディーとして、「deep green」という歌詞が展開する、という斬新なものだったのですが…。「聞こえにくい」という評価を得てしまったので、このバージョンは「ayame」のみのもの、となっています。実際、ボーカロイドを二つ重ねてしまうと、確かに聞き取りづらいので…。困りますね。生歌なら上手く行くはずなのですがね…。
secret eyes.で歌いたかったものの、どうしても叶わなかった曲のひとつです。